2007年03月21日

喰いしん坊! 第12巻

 今日はこちらのコミックをご紹介。

喰いしん坊! 12巻 (12)
喰いしん坊! 12巻 (12)土山 しげる

日本文芸社 2007-03-09
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「喰いしん坊!」第12巻

 B級グルメコミックの巨匠土山しげる先生が描く、大食いバトルコミックの最新刊です。

 まずは本のデータから。

・CONTENTS
「週刊漫画ゴラク」'06年10月〜'06年12月掲載分収録

【第1話】羊羹対決
【第2話】甘味の怖さ
【第3話】桃子・本領発揮
【第4話】羊羹対決・決着
【第5話】それぞれの思惑
【第6話】満太郎の策
【第7話】安の実力
【第8話】ダムの決壊
【第9話】安の底力

『喰いワングランプリ』
3日目、決勝ラウンド!!
ベスト8食闘士
意地名誉を賭けて大激突!!


 というわけで、今までありそうでなかった「ガチンコ大食いバトル」も12巻を数え、激戦は益々ヒートアップ!
 この巻には「マスクマンvs高丘桃子の羊羹対決」(決着)と、「満太郎vsどんぶり喰いの安 因縁の肉まん対決」が収録されています。

 元々私はTVの大食い番組が結構好きで、一時期のフードバトルブームのときも、かなり入れ込んで観ていました。
 ゆえに、不幸な事故で大食い番組が自粛されたときは、非常に寂しく思ったものです。
 それから月日が流れ、そろそろ大食い物がまた観たいなと思っていた頃、この「喰いしん坊!」に出会いました。
 ホント、こういうのを「僥倖」って言うんだと思いましたよ。

 そもそも描こうと思えば何でも描ける漫画において「大食い」をテーマにするためには、読者を納得させるだけの「リアリティ」が求められます。
 そして、それを可能とするのは現在、土山先生をおいて他にいないでしょう。
 土山氏の卓越した画力によって描かれる食材の数々。
 そして、生理学的な裏付けをもって描かれる、数々の大食いテクニック。
 それらが見事な説得力を持って、読者を大食いワールドへといざないます。

 大食いによって体にどのような変化が起こるのか。そしてそれを克服するためのテクニックとは。
 これらをきちんと描写することによって、もはやこの作品は単なるコミックとしてだけでなく、「大食いマニュアル本」としての機能すら持ち合わせるのです。

 「喰いしん坊!」での基本的な大食いテクニックは、以下の通り。
・チャレンジ前に軽く腹に入れて、胃を拡張する。
・牛乳や食物繊維のジュースで胃を保護しておく。また、栄養ドリンクで胃を活発にしておく。
・目一杯頬張らず、少しずつ一定のペースでよく噛んで食す。
・水分の摂取は最小限に。
・途中で休憩を挟まない。

 後は食材に合わせて口直し用の食材を用意したり、味・食感を変えるための工夫や、熱さ対策の工夫をしていくわけです。

 以前仕事の関係で名古屋に行った時、知る人ぞ知る名店「喫茶マウンテン」「甘口メロンスパ」にチャレンジしたのですが、この「喰いしん坊!」で得た知識があったおかげで、初登山にして見事登頂することができました。
 え? 味ですか?
 そりゃもう、メロンシロップ味のパスタと大量の炒め油、そして熱でとろける生クリームが絡まりあって、想像を絶するハーモニーでしたよ。まあ、それはともかく。

 この12巻の「羊羹対決」でも、甘味大食いで血糖値が急激に跳ね上がることで、人体にどのような影響が出るかが克明に描かれています。

 猛烈な胸焼け⇒冷や汗⇒意識が朦朧とする⇒睡眠状態

 こういうのって体験した人でなければ分からないけれど、体験するにはあまりに危険。
 だからこそ、今後不幸な事故を防ぐ意味でも、正しい知識を得ることは非常に重要と考えます。

 それともうひとつ、この作品の大きなテーマとなっているのが「大食いへの姿勢」
 食材を美味しく食べることを理念とする「正道食い」と、大食いのためなら手段を選ばぬ「邪道食い」
 この対立構造はそのまま、神事に由来する神聖な行事として大食いのスポーツ化を目指す組織「TFF(丹下フードファイターズ)」と、ショービジネスとして大食いの興業化を目指す「OKFF(大阪食い倒れフードファイターズ)」との抗争として描かれ、そして今まさに、両組織の猛者たちがOKFF主催の「喰い1GP」で火花を散らしているわけです。

 余談ですが、この「喰い1」という企画名は、以前「元祖!でぶや」にあった企画とかぶってますが、内容は全くの別物。時期も割と近かったので、たまたまかぶっちゃったんでしょうね。
 それはそうと、この「対戦形式の企画」を「○-1GP」って名づける風潮、そろそろ終わりにしてもいいと思うんですけどね。ちょっとネットで調べただけでも、「○-1」多すぎかぶりすぎ!
 自分が過去に観た中で「ちょっとコレは……」と思ったのは、数年前の正月番組で、アジアで活躍する若手マジシャンを集めてaD1を決める大会、その名も「T-1GP」。
 ……やっぱ「手品」のTなんだろうなぁ。明確な説明はなかったけど。
 まぁ、「マジック」「奇術」だとMとかKとかぶるってのは分かるんだけど、国際大会で「手品」ってのもなぁ。そこまでして「○-1」にこだわる必要があったのか、未だに疑問。
 ちなみにこの「T-1」は現在、某家庭教師派遣会社の社内コンテストでも使われてるみたいです。

 話を戻します。
 この「喰いしん坊!」では、単に大食いの記録にこだわるだけでなく、「いかに美味しく大食いするか」に、最も重点が置かれています。
 これは「Gourmet Fighter」という副題からもうかがえますね。

 例えばこの12巻でも、肉まんを皮と餡に分け、どんぶりに入れて水をかけ啜り込む安の「どんぶり喰い」に、満太郎は肉まんを一度皮と餡に分け、適度に冷ましてから再び餡を皮に戻して食す「邪道返し」で対抗しています。
 あくまで肉まんを肉まんとして美味しく、かつ熱さを克服するために編み出した必殺技です。
 ……「それって十分邪道食いじゃないのか」というツッコミは重々承知しています。
 が、「質問は一切認めん!」ってのも土山ワールドの楽しみ方。

 そもそもこの「喰いしん坊!」は、大食い描写がリアリティに裏付けられている一方で、「大食いを中心に世界が展開する」ファンタジーでもあるわけです。
 どんな街にも必ず大食いチャレンジの店があり、大食いの大会でドーム球場が満員になる世界。
 そして、大の大人たちが大食いを生業とし、命がけの勝負をする世界。
 この作品が連載されている「週刊漫画ゴラク」は一言で言えば「オジサン向け週刊漫画誌」ですが、このノリはむしろ、少年達がオモチャに命を賭け、オモチャで世界を救う、「コロコロコミック」等のホビー漫画に近いものがあります。
 だからかも知れません。
 この作品が、私のような「少年の心を捨て切れない大人」を惹きつけて止まないのは。

 ともすれば「食への冒涜」として眉をひそめられることも多い「大食い」の世界。
 その「大食い」に光を当て、極上のエンターテインメントとして昇華(っていうより消化?)させる一冊。
 腹に自身のある方は、是非一読をお勧めします。

 なお、コレを読んで実際に大食いチャレンジをされる場合は、万全な体調管理の上、自己責任でお願いします。

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 日本文芸社
 喰いしん坊! Wikipedia




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posted by ジョン=ガラ at 00:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミック edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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